緑内障とは、眼圧(目の中の水の圧力)によって視神経(ものを見るための神経)がダメージを受ける病気をいいます。
目の中には水が入っており、適切な圧力があることで眼球の形が保たれます。
この水を房水と呼び、涙とは異なるものです。
視神経がダメージを受けると視野が欠けてしまい、進行すると視力も低下します。
緑内障のタイプ
緑内障というと失明するイメージを持たれることが多くありますが、実際には失明することはそれほど多くありません。
しかし、緑内障のタイプによっては進行の早いものもあります。
①急性閉塞隅角緑内障
隅角(ぐうかく)とは、黒目と白目の境の奥にある、眼内の水の通り道がある場所です。
隅角が開いていると水が循環しますが、下図のように隅角が閉塞すると水の循環が絶たれ、眼圧が上昇します。
(左図は開放隅角、右図は閉塞隅角)
これが急激に起こるものを急性閉塞隅角緑内障といい、「緑内障発作」などと呼ばれています。
緑内障発作では、眼圧が急に40~80という大変高い状態になります(正常の眼圧はだいたい10台です)。
すると、圧に弱い視神経は傷んでしまい、極端な高眼圧が続くと失明してしまいます。
発作が起きた場合には、眼内の水の循環を取り戻すような処置が緊急で必要です。
具体的には、レーザー虹彩切開術や白内障手術が行われます。
症状
眼圧が急に上がって緑内障発作を起こすと、典型的な症状がでます。
吐き気を伴うような急な眼痛、頭痛、嘔気嘔吐、充血、かすみ目です。
これらが一度に現われてきます。
ちなみに、眼圧がそれほど高くない場合や、高い眼圧でもゆっくり上がった場合には自覚症状はあまりありません。
②開放隅角緑内障
隅角が開放しているにもかかわらず、何等かの原因で緑内障になるものを言います。
眼圧が高いものと正常のものとがあります。
眼圧が正常でも緑内障になるものを「正常眼圧緑内障」と呼びます。
日本人では、正常眼圧緑内障は珍しくありません。
治療
眼圧が高いタイプでも正常のタイプでも、眼圧を下げることが治療になります。
眼圧を下げる方法には、点眼薬、内服薬、レーザー、手術があります。
眼圧を下げることで視神経へのダメージを軽減し、視野の欠けの進行を遅らせることを目的とします。
③続発緑内障
目の炎症や手術の既往、ステロイドの影響などにより眼圧が上昇して緑内障になるものを続発緑内障と呼びます。
もとの疾患の治療と同時並行で眼圧のコントロールをするため、難しい場合も多くなります。
緑内障でよくある質問
失明するのですか?
緑内障は進行する病気ですが、その進行はたいへんゆっくりな場合とやや速い場合とがあります。
大多数を占める開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障では進行はそれほど早くないことが多く、また眼圧を下げることで進行予防が可能となります。
進行速度が十分に遅ければ、生きている間に失明はせずにすみます。
若い方は残りの人生が長いため、進行の管理はより注意が必要です。
点眼薬は始めたら一生つけると言われていますが、本当ですか?
点眼薬は進行予防のためのブレーキですから、継続することが基本となります。
ただし、ごく軽度の場合や進行が全くないような場合、緑内障ではないことが後から判明するよう場合には中止する場合もあります。
点眼薬を始めるのが遅くなりすぎると視野の欠けも大きくなってしまいますので、治療開始は遅れすぎないことが大事です。
視野が欠けていると言われますが、自覚症状がありません。
緑内障では、鼻側(内側)の視野が先に欠けやすいと言われています。
左眼の鼻側の視野は右眼で補い、右眼の鼻側の視野は左眼で補うことができます。
また、人間の脳は視野が欠けている部分があってもそこを補うため自覚症状が出にくい性質があります。
視野が欠けていることが自分で分かる程度になると、実はすでに緑内障が進行していると言われています。
そのため、自覚症状がないうちから治療を行うことが大切です。
緑内障は治らないと言われました。治らないのにどうして治療をするのですか?
緑内障は視神経が減少して、それに該当する視野が欠けてきます。
減少した視神経や欠けた視野は残念ながら今の医学では戻りませんが、治療により進行のスピードを遅らせることができます。
寿命の限り目の見え方を維持するために治療を行う、と捉えてください。