ものが歪んで見える症状は、視覚異常の一つであり、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
この異常な視界は時折現れ、一時的であることもありますが、時には慢性的なものとなることもあります。
症状が長引くと治りにくくなるため、下記のような症状が現れたときは、早めに受診するようにしましょう。
あれ?あの細い棒って歪んでたっけ?
まさか!まっすぐだよ。
そうだよね。
あれ、右眼でみると歪んで見えるけど、左眼で見たらまっすぐだ!
えっ、それは眼科に行った方が…。ちょっとネットで調べてみるよ。
…黄斑の病気かもしれないって書いてあるね。
黄斑の病気?どういうこと?
物が歪んで見えるときは
まず、どちらの目で歪んで見えているのか、片目ずつ閉じて確認してみましょう。
歪んで見える方の目の奥、網膜といってスクリーンの役割をしている部分のうち、真ん中にある「黄斑(おうはん)」という部分に病気があることが多いです。
黄斑の病気とは
網膜の真ん中は黄斑と呼ばれ、視力と関係する重要な部分です。
黄斑が悪くなると、物が歪んで見える・ものが大きく見える・小さく見える・見ようとするところが見えない(中心暗点)といった症状が出ます。
つまり、物が歪んで見えた時には、黄斑に何等かの病気ができている可能性が高いと考えられます。
どんな病気がありますか
代表的なものは以下の通りです。
- 加齢黄斑変性
- 黄斑上膜
- 黄斑円孔
- 黄斑浮腫(網膜静脈閉塞症や糖尿病網膜症、ぶどう膜炎などによる)
- 中心性漿液性網脈絡膜症
どんな治療をしますか
原因となっている病気によって、治療方法は異なります。
加齢黄斑変性
滲出型と萎縮型とがあります。
滲出型では、硝子体注射といって、眼内に薬を注射する方法がしばしば用いられます。
注射薬によって完全に治るわけではありませんが、原因となる新生血管や血管からの漏れが良くなることで、病気が安定してくることを目標とします。
萎縮型では現時点では治療法はありません。
また、滲出型・萎縮型のどちらも、点眼や内服の治療はありません。
黄斑上膜
黄斑上膜は、網膜の中心部である黄斑部において、網膜の上に新たな薄い膜が形成されます。
黄斑前膜、網膜前膜、網膜上膜といった呼び名もあります。
軽いものでは自覚症状もなく、視力も維持されますが、進行すると歪んで見えたり視力が落ちたりします。
加齢に伴うものでは進行はゆっくりなことが多く、一方網膜剥離や炎症に伴う二次的なものでは比較的進行が早くなります。
点眼や内服は有効でなく、進行予防では膜を除去する治療(硝子体手術)があります。
黄斑円孔
黄斑円孔は、黄斑の真ん中に穴が開きます。
ゆがんで見える、視力が落ちる、見ようとするところが見えない症状が比較的強く現れます。
中年以降の近視の女性に多くみられます。
硝子体手術が必要な場合が多くありますが、自然に塞がる場合も時にはあります。
黄斑浮腫
黄斑部の網膜がむくむ(浮腫)ことを言います。
糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎などの眼内の炎症、目の中の手術の後、などの原因が考えられます。
原因疾患の治療に加えて、点眼や注射(抗VEGF薬、ステロイドなど)、レーザー治療を行う場合があります。
中心性漿液性網脈絡膜症(中心性網膜炎)
黄斑部の網膜の下に水が溜まります。
ものが歪んで見えたり、小さく見えることが多いです。
働き盛りの男性に多く、ストレスや過労が引き金となると言われています。
また、ステロイド薬の影響で起こる場合もあります。
数か月で自然に治ることも多いですが、治りが悪い場合はレーザー治療を行う場合があります。
内服が適していることもあります。
気がついたときは受診しましょう
ものが歪んで見える場合には、眼底検査や網膜の断層撮影で原因を調べることが重要です。
症状が長引くと治りにくくなるため、気がついたらなるべく早めに眼科にかかりましょう。